ジュエリー探索、半世紀のサムです。ジュエリーの加工について、紹介します。

どの様にしてジュエリーを加工するの?

一般の方々は、美しく輝くジュエリーを見て、どの様にして加工をしたのだろうとは、まず思わないでしょう。普通は、手に取って、そして着けてみて、デザインが好きとか嫌いとか、そんな会話が聞こえてきます。

然し、ジュエリー業者は、ついついジュエリーを手に取ったらルーペを出して、その裏側を見て作り方とか、磨きの仕上がり、そして表のダイヤモンドの留め方等を見てしまいます。ある意味、嫌な習性ですが、商品の品質を見分ける為に必要なプロセスです。

そんな時、手作りか? キャスト製品(鋳造加工)か? 鍛造とCNC機での切削加工の組み合わせか? 等も見分け、商品の特徴を把握します。

そのような成型加工方法の違いには、どの様な特徴があるのでしょうか?成型方法には、「手作り」、「鋳造」、「鍛造・プレス」があります。

 

手作りの特徴

古代からジュエリーの成型加工方法は、手作り、つまりハンドメードでした。金属を加熱し、叩き、曲げ、削り、組み立て、接合、磨き、彫り等様々な工程を匠の技を生かして製作してきました。幅広いデザインに対応ができます。しかし、量産には向かず、むしろ1点だけの作品など、今でも、熟練の職人さんに手作りをお願いすることがあります。ただし、制作完成には、時間がかかりますし、費用も掛かります。勿論、手作りの素晴らしいジュエリーを見た時は、その完成度に感動をします。昨今は、そうした匠の技を持つ職人さんも減ってきています。

 

鋳造の特徴

現代のジュエリーの成型加工では広く採用されて居るのが、キャステイング加工、つまり鋳造です。金属を熔解し、「型」に流し込んで成型をする方法です。同じ形状のものが、大量に、しかも時間を掛けずに制作できます。また、複雑な形状でも、曲線・曲面で構成されたデザインでも比較的容易にできるのが大きなメリットです。最初の原型は、銀やワックスで手作りします。また、今ではCADでデータを作り、光造形機や3Dプリンターで原型を作ります。その原型から鋳型を作り、溶かした金やプラチナを流して鋳込みます。鋳込むのに鋳造機を使います。日本でも過去40年ほど研究開発が進み、高性能な鋳造機によって効率よく、品質の良い製品を作る事が出来き、国際的にも高く評価されています。

然し、キャストの機械は高性能に成りましたが、金属を溶かして流し込む為、内部に僅かな気泡が残り、磨いて仕上げる時に、気泡の部分(ス)が小さな穴の様に表面に出てしまうことが若干あります。其の問題は、機械の進化、割金の研究、湯口の工夫、鋳造担当者の経験値によって目覚まし改善がなされてきました。特にプラチナの様に融点も高く、また、粘りのある金属でも克服してきました。

 

鍛造・切削の特徴

型に流し込む鋳造に対し、金属の板を工具や鋼質の型で切ったり、叩いたり、曲げたり、展ばしたりして成形をする方法を鍛造と言います。古くには、刀鍛冶をイメージしてください。金属材料を火に入れて叩いて形にして行きます。現代では、例えば自動車のボデイー。金属板を大きなプレス機で、形打ち、圧延して成形します。其の成形は、常温下で行う冷間、加熱して行う温間、材料を赤熱する高温まで加熱して行う熱間の種類があります。金属は、叩たり、圧延することによって鍛えられ、強度を増し、粘り強くなり金属の持つ良い特性を引き出すことができます。つまり、金属の結晶が密に整うのです。この技術を使って、ジュエリーも制作できる分野があります。代表的には、マリッジリング、コインや金具類です。特にここで取り上げたいのは、マリッジリングです。指輪の基に成る輪をプレス機で成形します。ここに鍛造技術が使われます。其のリング状になったベースリングを切削機に掛けて削り出して様々なデザインを施します。こうして出来たマリッジリングは、鋳造品に比べて強度があります。長年、毎日着けるマリッジリングには、鍛造品は確かに優れています。また、鍛造品は、精度が高い成形が出来ます。つまり、安定した品質で量産が可能です。しかし、弱点もあります。其れは、デザイン的な自由度に限界があることです。切削する作業をするジュエリー用の切削機に経済面から見て制約されるからです。また、プレス機にセットする金型の製作にコストがかかります。つまり、大きな設備投資が必要に成ります。

 

特徴を生かす

見てきました様に成型加工も、それぞれ一長一短があります。つまり、どれがベストということはありません。

私共は、どの様なジュエリーを作るかを考え、其のうえで、どの加工方法を採るのか決めます。組み合わせる事もあります。

ここでは、私共が扱っています指輪から、其の加工を見てみます。

例えば、大きなサイズ、アスリートの方がオフに似合う指輪、オトナの指輪、長年着ける指輪です。このテーマをカバーするには、鍛造です。シームレスの輪を鍛造で作ります。そして切削機で削り、磨いて完成させます。鍛造ですから粘り強く、硬い指輪に成ります。つまり、耐久性が高く、長年着けられます。また、幅広の指輪も製作可能です。もし12mm幅のフラットな鏡面仕上げのご要望でも鍛造なら可能です。

これを鋳造や手加工で奇麗に鏡面に仕上げるには、匠の技が必要です。手作りも、金属板を叩き、削り磨きますので、鍛造工程と言えますが、板を丸めて輪にするときにはロー材を使って溶接することに成り、若干強度が落ちます。しかし、個人的には、手作りには手作りの味わいがあり好きです。

では、鋳造は?これまた、鋳造には、鋳造でなければ作れないデザインがあります。特に曲線を使ったデザインや、様々なパーツを組み立てて製作するデザインで、しかも量産する時は、鋳造しかありません。昨今は、CADでデザインデータを作り、成形に3Dプリンターを使い出力した樹脂原型を、そのまま鋳型に取り、鋳造するといった効率的なプロセスも見られます。まだまだ、ジュエリーの加工技術も進化しています。

開発したデザインを実現するために、また、ジュエリーとして使用する場面を想定した上で、それぞれの利点を見極めて製作方法を決めて行くわけですが、マリッジリングの様に長い年月にわたり着ける指輪は、その耐久性を考えると「鍛造加工」は優れていると思います。

 

Gizany

******************************

【GIZANY(ギザニー)】

ジュエリー・ジャポニスム、日本の伝統金工技術、ユニセックスがコンセプト。

神奈川県横浜市金沢区の静かな住宅街にたたずむ一軒のアトリエ。
ここで洗練された大人のジュエリーGIZANY。

こだわりのジュエリー、オーダーメイドジュエリー、ジュエリーリフォーム、ジュエリーリフォーム、現代の名工、結婚指輪(マリッジリング)、メンズジュエリー。

 

オンラインショップ
https://gizanyshop.shop-pro.jp/

お問い合わせはこちら
https://gizany.com/contact/

サロン予約
https://gizany.com/visit-01/

 

オーズ・クリエーション・ジャパン株式会社
〒236-0017 神奈川県横浜市金沢区西柴2-6-14
TEL.045-701-8359
営業時間/11:00 ~ 18:00
定休日/ 火曜日 及び 祝祭日
予約制 (事前にお電話かメールでお問い合わせください)

******************************